School—カリキュラム
本学は、日本国内においてクラシックバレエダンサーを指導・養成する事が出来るペルミワガノワ教師の養成を目的としています。クラシックバレエダンサーとしての条件は、バレエ全幕作品で踊られているクラシック、キャラクター、ヒストリカルを踊ることの出来るダンサーを指します。このようなダンサーを指導・養成するために、バレエ教師には3つのダンスにおける教授法や理論、実践能力が求められます。
クラシックバレエ、ワガノワ教授法
アグリッピナ・ワガノワが確立した教授法とは、1学年から8学年まで各学年で習得するそれぞれの「パ」と舞踊技法の指導法が明確に規定されています。教師は、その「パ」と舞踊技法が組み込まれた各学年のアンシェヌマンを厳格に指導し、生徒がこれを繰り返し学習することによって、クラシックバレエの「パ」と舞踊技法が正確に体得できるように作られた教授システムです。
この8年間のカリキュラムを学ぶことにより、生徒はクラシックバレエの基本姿勢、頭部・腕・脚の協調と調和のとれた身体の動かし方を学び、さらに、高度な回転、跳躍技からなるクラシックバレエの超絶技法を習得することによって、芸術の高みにまで到達することができます。
キャラクターダンス
キャラクターダンスは、ロシア舞踊、ポーランド舞踊、イタリア舞踊、スペイン舞踊等の舞踊様式があり、クラシックバレエとは異なる手脚のポジションとステップ、舞踊技法です。ロシア本校では、このキャラクターダンスのための5年間のカリキュラムを定めています。「ポドスコック」、「スカチョック」、「プリジョク」等のキャラクターダンス特有の脚の運び方、「ストレート」と呼ばれる特有の脚のポジションから、クラシックバレエと全く異なる身体と顔の方向性などの舞踊技法を習得します。
ヒストリカルダンス(歴史的民族舞踊)
ヒストリカルダンスとは、ヨーロッパの諸民族の間に長年にわたり培われ、踊られてきた歴史を持つ風俗・民族、文化、習慣に裏打ちされてきた舞踊を指します。クラシックバレエとは異なるポジション、ステップを持ち、独自の拍子とテンポを有しています。また、男女が組んで踊るものや、お辞儀など、それぞれのダンスを生んだ文化、民族、風俗によって異なった魅力があります。
カリキュラムでは、ポロネーズ、ポルカ、ワルツ、フランス風カドリール、シャコンヌなどが定められています。バレエダンサーにはクラシックバレエだけでなく、このヒストリカルダンスの習得が必修であり、ワガノワ教授法教師の必修科目にもなっています。
ロシアバレエ史
ロシアでは、西欧より数世紀遅れて18世紀にバレエが始まりました。皇帝の庇護の下、帝室バレエ学校が開校、続いて帝室劇場のバレエ団が創設され、ロシア・バレエは急激に発展していきました。19世紀後半には西欧を凌駕するレベルとなり、19世紀末には巨匠振付家マリウス・プティパとチャイコフスキーの音楽により、バレエの代名詞「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」が生み出されるに至りました。20世紀に入ると、アグリッピーナ・ワガノワがロシアの教育システムをまとめあげたワガノワ・メソッドにより、ロシアのバレエの水準はさらに高まり、世界のバレエ界をリードして、多くの名舞踊手を世に送り出すようになりました。本授業では、帝政時代から現代までのロシア・バレエの発展の歴史を、映像を見ながら学びます。
バレエ史
宮廷バレエ、ロマンチック・バレエ、ロシア・バレエ、ジョージ・バランシンの抽象バレエ等に焦点をあて、バレエの歴史の概要を理解します。
バレエ解剖動作
バレエを踊る、あるいは指導する際に、感覚的な理解や言語だけではなく、「体の関節や筋肉がどのように機能しているか」「重心がどのようにずれるとバランスが崩れるのか」「体の使い方のクセと怪我の関連性」など、解剖動作学的観点から動きをとらえることができるようになることは、バレエの動きをより深く理解することができ、正しいテクニックを習得し、パフォーマンスを向上させ、また的確なアドバイスを生徒に与える手がかりとなります。
本授業では、動作を理解するために必要不可欠な解剖学と動作学の基礎知識を得ることを第一目標としています。また怪我の発生原因、予防方法の知識から、応急処置の実習を行い、自己管理にむけた実践的な能力を身につけることを目的としています。
バレエ動作生理
バレエは独特な美の価値観により、必要な体力レベルが高いにも関わらず、体をスリムに保っていなければなりません。健康であり、美しい体で、より長くバレエを踊っていくためには、正しい知識と実践が必要不可欠ですが、無理なダイエットと激しいクラスのバランスがとれていないことによる体調不良などがダンサーの間で見られることも少なくありません。
本授業では、バレエ解剖動作の知識をもとに、バレエ特有の姿勢や動作の成り立ちを理解し、体力とダイエットのバランスのとれた体で踊ることを考えていきます。
プロデュース論
クラシックバレエはヨーロッパの歌劇場・宮廷で生まれ育った総合舞台芸術です。本授業では、クラシックバレエを形成する舞台芸術の構成要素となる劇場舞台の形式や舞台装置、衣装、照明、音響など舞台制作の側面から解説します。さらにバレエ公演、発表会などの制作業務のプロセスを側面から考察します。
フランス語
クラシックバレエ用語であるフランス語を言葉から解釈します。
ロシア語会話
ロシアのクラシックバレエにおける深い知識を理解するため、日常会話を中心としたロシア語の学習を行います。
メイクアップ
クラシックバレエフルメイクのデモンストレーションと実習を行います。